湿潤療法Wet therapy
マンガで解説
こんなお悩みありませんか?
~指を深く切ってしまった~
湿潤療法について
湿潤治療とは、身体が持っている本来の自然治癒力を最大限に生かす方法です。傷が出来たら身体にはそれを治そうとするシステムが働きます。元々、治ろうとする力があるので、それをサポートするだけで皮膚はどんどん治っていきます。この治療をすると治りが早いので痛みも 早くなくなります。では、傷はどうやって治っていくのでしょうか。傷が治っていく過程を考えてみましょう。
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- ①止血
- 傷口では毛細血管が切られています。血管が切れているので出血していますが、出血したままでは治らないので止血しなければいけません。血小板がその役割を果たしますが、出血の勢いが強いときは圧迫止血が必要になります。また、わずかに浸み出すくらいの出血量が続くときは止血効果の強い被覆材で覆ってカバーします。
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- ②傷口をくっつける
- 傷口を修復するために細胞成長因子が分泌されます。この物質により創部の回復がはかられます。
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- ③傷口を塞ぐ
- 傷口に表皮細胞が乗ってきます。傷口が全て上皮化したところで完治となります。今まで傷に対する消毒とガーゼによるカバーは常識と思われていました。しかしこれらを考え直す必要があります。ガーゼを使用しない方がいい理由は3つあります。
①傷口を乾燥させると細胞成長因子が乾いてしまって働かなくなる
②ガーゼを交換するときに創部に傷をつけてしまう、剥がすときにとても痛い
③ガーゼで乾燥して、かさぶたができると治癒までの期間が長引いてしまう
また、消毒液を使用しない方がいい理由は、傷を消毒すると細菌を殺すとともに体の正常な細胞も痛めつけるためむしろ良くないからです。 ただし、ガーゼは水分を吸収する力がとても強いので傷口から水分が多く出てくる場合にはガーゼが必要です。
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そのためには傷口に異物が残らないようにキレイに洗い流す必要があります。泥が傷口に食い込んでいるなら、局所麻酔をして傷口をブラシでこすり、泥や砂を取り除きます。浸出液(傷口から出ている液体)の量でカバーする素材を選び、きれいになった傷をその素材で覆います。最初は被覆材を毎日交換しながら、傷から出てくる浸出液の量に応じて被覆材を変更します。傷口が改善してきたら2日に一度被覆材を交換します。浸出液が少ない場合は市販されているキズパワーパッドを使用して自宅で治療が出来ると思います。
※ただし、以下の場合は自宅で治療すると悪化する場合があるので、医療機関に受診してください。
- 傷口周辺が赤く腫れている場合
- 浸出液が多い場合
- 犬や猫に噛まれた場合
- 広範囲のやけどの場合
- 傷口に膿が溜まっている場合
身体にはもともと傷を治そうとする力があるのでそれをサポートするだけで皮膚は早く治ります。
湿潤環境を作ると痛みが抑えられる上に、早く治ります。
怪我をしてしまった場合はぜひ湿潤治療を試してみてください。自分でやるのが不安な場合は医療機関に受診してください。