禁煙の概況

50年前まで日本人の男性の喫煙率はおよそ80%でした。現在男性の喫煙率は28%程度に低下しています。どういうわけか女性の喫煙率はそれほど下がっていませんが、もともと低い喫煙率だったのであまり変化がないのかもしれません。
全体的に喫煙率は下がっていますが、特に若い方たちの喫煙率の低下は顕著です。
若い方は元から吸わなければ禁煙する必要もありませんね。

65歳以上の男性の場合、肺がん検診の問診票を見ると「以前はタバコを吸っていたが今はやめた」という方が多数を占めています。なんらかの努力をされて禁煙に成功されている方が多い印象です。


千葉市では2020年4月から70%の飲食店でタバコが吸えなくなります。
より一層喫煙可能なスペースが限定されます。
オリンピックに後押しされる形で条例が制定されたのですが、喫煙率が低下し受動喫煙禁止条例に反対する勢力が減ってきたことも関連しているかもしれません。

禁煙中の症状

禁煙を妨げる要因の一つとして禁断症状があります。タバコを吸う本数と禁断症状の強さは比例します。以前は1日80本以上タバコを吸っているという方が禁煙治療のために来院されていましたが、最近では1日20本以下の方の来院されるケースが増えています。

タバコを多く吸っている方だと禁煙をすると身体が震えるとかイライラするなど、かなりきつい禁断症状が出ます。しかし、以前より1日20本以下の患者さんが増えたためか、最近はきつい禁断症状をあまり見かけなくなりました。

ただ、どうしてもタバコが恋しいと思われる方とか、タバコをやめたら食欲が出て体重が増えた方が目立つようになりました。
 

主な禁断症状

・タバコが吸いたい
・イライラする
・頭痛がする
・集中できない
・体がだるくて眠い
・眠れない
・便秘

禁煙治療について

現在医療機関で行なっている治療法は貼り薬であるニコチンパッチと飲み薬であるチャンピックスの2種類です。


<禁煙成功率>

厚生省の「ニコチン依存症管理科による禁煙治療の効果等に関する調査報告書」によると、ニコチンパッチ治療終了の9ヶ月後に禁煙継続していた方の割合は35%でした。一方チャンピックス治療終了の9ヶ月後に禁煙継続していた方の割合は28%でした。

つまり、禁煙治療をしようとした人たちの30%しか禁煙に成功していません。ですから禁煙治療を始める大前提として、禁煙をなんとしてでもやり抜くという強い意志が必要です。

禁煙成功率は禁煙治療で通院した回数にも現れています。
通院治療を1回しかしなかった方の禁煙継続率は4.7%でしたが、5回まで通院治療を行った方の禁煙継続率は47.2%でした。
以下にグラフを提示します。
 
参照:厚生省の「ニコチン依存症管理科による禁煙治療の効果等に関する調査報告書」より
参照:厚生省の「ニコチン依存症管理科による禁煙治療の効果等に関する調査報告書」より


通院回数が多いほど禁煙成功率は上がります。


<ニコチン補充療法>

既に述べたように、治療法には貼り薬のニコチンパッチと飲み薬のチャンピックスがあります。

①ニコチネルTTS

ニコチネルTTSは、ニコチンをそのまま補充する方法です。ニコチンパッチと呼ばれるシールのようなものを体に貼ります。

同じ場所に何回も貼り続けていると20%前後の方は肌がかぶれてしまうので、肌の弱い方にはお勧めできません
また、6.8%の方で不眠の副作用がでます。
 
初めは30mgのニコチンパッチを4週間、次に20mgのニコチンパッチを2週間、最後に10mgのニコチンパッチを2週間貼ります。
徐々にニコチンの量が減ってくるのを自覚される方がほとんどです。

最後はニコチンがかなり少なくなったところで貼り薬自体も終了となります。
こちらの薬は、ニコチンの量がだんだん減っていって最終的に禁煙を成功させるというものです。

②チャンピックス

この薬は脳にあるニコチン受容体に結合し、快感を感じさせるドパミンという物質を放出してニコチンを摂取しているのと同じような気分にさせてくれます。
 
そしてチャンピックスはニコチンが受容体に結合するのを邪魔するので、禁煙中にタバコを吸った時の「タバコが美味しい」という感覚を起こしにくくします。

また、ニコチンパッチと決定的に違うのは依存性がない点です。ニコチンに対する依存性とは、ニコチンが切れるとまたニコチンが欲しくなるというシステムのことです。その依存性がチャンピックスにはありません。

そのため、チャンピックスを飲んでニコチンに対する脳の依存がなくなると、急にチャンピックスを飲むことをやめてもまたニコチンを欲することはなくなります。
 
ただし、この薬は吐き気の副作用がしばしば認められます。そのため、この薬は副作用が出にくい少量から開始します。

そして徐々に増やしていき1週間後に最初の4倍の量(通常量)に増やします。禁煙はこの通常量になったところからスタートです。

通常量になったときに吐き気の副作用が出ることがありますが、10人に9人は我慢ができるレベルです。
しかし、10人に1人位は薬の量を増やすことができず、禁煙を断念されたりニコチンパッチに変更する方もいます。
 
吐き気以外の副作用として、異常な夢を見ることもあるようです。
また、チャンピックスを服用後運転中にめまい、眠気、意識消失を起こして自動車事故に至った例があるため服用後の自動車の運転はできません。
運転しなければならないときは服用のタイミングを考える必要があります。

禁煙後 体に起きる変化について

時間経過とともにどんな変化が起きるのかが分かっています。以下に表を示します。

禁煙開始後の年月 体に起きる変化

翌日

心臓発作(※1)が起こりにくくなる

比較的早い時期

咳や痰が減る。インフルエンザの感染症にかかりにくくなる。

1ヶ月 咳や喘鳴(※2)など喘息症状が改善。体の免疫力がアップする。
1年後 肺機能(※3)の改善
4年後 心筋梗塞、脳梗塞のリスク減少
5年後 肺ガンのリスク低下
10年後 口腔ガン、食道ガン、胃ガン、喉頭ガン、膀胱ガン、子宮頸ガンのリスク低下(※4)
(※1)心臓発作は狭心症の発作や心筋梗塞のことです
(※2)喘鳴とはヒューヒュー聞こえてくる呼吸音です
(※3)肺機能は肺活量の検査でわかります
(※4)ガンのリスク低下にはある程度時間が必要です

このように、禁煙を始めるのが早ければ早いほどさまざまな病気のリスクを下げることができます。

体調の改善以外のメリットについて

• ご家族への受動喫煙がなくなります
• 肌の色も黒ずんでいたものから綺麗な色に戻ってきます
• タバコを吸う場所を探して彷徨わなくなります
• タバコくさいと疎まれなくなります
• タバコ代に使っていたお金が浮いてお小遣いにゆとりが出ます

まとめ

禁煙は強い意思を持って取り組むと成功確率が上がります。禁煙すると家族からとても喜ばれますし、体調の改善以外にも良いことがたくさんあります。
禁煙したくても自力でできないと思っている方は、お力になれるかもしれませんので是非当院へいらしてください。