COPD

坂道を歩いていて息が切れたり、歩くとドキドキしたり、呼吸がしづらいことはありませんか?

もしかしたらそれは慢性閉塞性肺疾患(COPD)かもしれません。

 

 

 

 

「坂道を歩くと息が切れるんです。」

これは殆どのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんに共通する訴えです。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は世界の死因では第3位、日本の男性の死因で第8位です。日本人では530万人ほどの患者さんがいると推定されていますが認知度低いためそのうちの5%ほどしか治療していないのが現状です。

 

COPDって何?

COPDとは、Chronic(慢性) Obstructive(閉塞性) Pulmonary (肺)Disease(疾患)の略です。

炎症によって気道が狭くなり、文字通り「慢性的に」「肺」が「閉塞」する「疾患」のことです。

以前は肺気腫と呼ばれていたのですが、これでは気道が炎症で細くなる状態が伝わらないのでCOPD と名付けられました。

 

COPDってどんな病気?

COPDはタバコや汚染された大気などを吸い込むと、空気の通り道である気管が細くなり、酸素を取り入れる肺胞が壊れます。

その結果、空気を吸うことはできますが、勢いよく吐けなくなり、細くゆっくり吐き出すようにしないと肺の中の空気を全部吐き出せなくなります。そして息切れが起こります。

 

COPDの原因は?

世界全体でみると90%以上はタバコが原因と言われています。

残りの10%は家の中でものを燃やした煙が原因でCOPDになります。

 

日本において家の中でものを燃やす家庭は少ないと考えられますので、ほぼ100%タバコが原因と思われます。

ちなみに、当院のCOPDの患者さんは100%タバコが原因です。

 

COPDの症状は?

一番は呼吸困難です。患者さんによって呼吸困難の表現方法はイロイロです。

「歩くとドキドキする」

「坂道で息が切れてしまう」

「呼吸がしづらくなった」

「重苦しい。」

「空気が足りない感じがする」

 

これらに加えて慢性的な咳と痰も認められます。

 

咳は最初のうちは時々しか出ていませんが、症状が進むと常に咳が出るようになります。

このような時はCOPDを考えなければなりません。

 

また1年のうち3ヶ月以上痰がでる場合でもCOPDの可能性が高くなります。

<口すぼめ呼吸>

 

重症のCOPDの特徴的な症状に「口すぼめ呼吸」があります。

口すぼめ呼吸とは、口をすぼめて息を吐き出す呼吸のことです。

 

COPDの患者さんは気管支が狭いため、空気を勢いよく吐こうとすると気管支が潰れて最後まで空気を吐き出すことができないので口すぼめて一度に吐く息の量を減らして呼吸をします。

 

フルートなどの管楽器を吹くときには口を小さくして息を吐き出すと長く最後まで空気を吐き出せますが、口すぼめ呼吸も同じ原理です。

 

COPDの患者さんは誰に教わることもなくこの呼吸方法を実践しています。

そうしないと息切れがひどくなるからです。

 

COPDの診断

上記のような症状があった場合、気管支拡張薬を投与した後でスパイロメトリー検査(肺活量の検査)をする必要があります。

 

FEV1/FVC(1秒間に吐き出せる空気の量/一生懸命努力して吐き出せる肺活量) の数値が70%未満である場合、COPDと診断されます。また、「1秒間に吐き出せる空気の量」が少ないほど重症です。

 

COPDの治療方法

タバコが原因でCOPDになってしまったのですからまず第1に禁煙が必要です。禁煙しないと加速的に肺機能は悪化していきますが、禁煙を始めると悪化するスピードはゆっくりになります。

禁煙したら次に、運動をする必要があります。

息切れを解消するには呼吸に必要な筋肉を鍛えなければなりません。

 

呼吸をするときに使われる筋肉は横隔膜や肋間筋などです。

これらの筋肉は大きく深呼吸をすると少しずつ筋肉が強くなります。

また、呼吸において重要な心臓も筋肉でできています。

そして運動すると心臓の筋肉も鍛えることができます。

 

このように息切れを解消するためには禁煙をした後、大きい深呼吸や運動などで呼吸をするための筋肉を鍛えることが重要です。

「禁煙もした。運動もしている。それでもまだあるこの息苦しさをなんとかしたい。」

という方のために

吸入薬の治療薬が何種類かあります。

 

最も効果が高いと考えられるのはLAMA(ラマ)と呼ばれる薬です。

LAMAは副交感神経をブロックして気管支を拡げる働きがあります。

COPD の第一選択薬として長年使われてきました。

 

また、別の薬であるLABA(ラバ)と呼ばれる薬も第一選択薬です。

LABAは交感神経を刺激して気管支を広げる働きがあります。

 

LAMAプラスLABAが合わせると効果が高まります。2つの薬が合わさった薬である合剤がでています。

その合剤などと特徴、持続力などは以下の通りです。

 

薬剤名 特徴 トラフFEV1.0変化率
スピリーバ(LAMA) ソフトミスト。吸い込む力が弱くても大丈夫 0.114
スピオルト(スピリーバ+LABA) 同上 0.271
シーブリ(LAMA) カプセル製剤。1回ずつ吸えているか確認できる。 0.115
ウルティブロ(シーブリ+LABA) 同上 0.16
エンクラッセ(LAMA) 1回の機械の操作で吸入できる。 0.123
アノーロ(エンクラッセ+LABA)  同上 0.164

一番右のFEV1.0の変化量は大きいほど効果が強いということになります。

 

 

禁煙、運動、薬を用いて呼吸機能を保つように努力してもCOPDが悪化して体に酸素を供給できず、最終的に酸素の吸入が必要になる方がいます。

 

血中の酸素飽和度が88%以下の場合は酸素吸入が必要です。 また、酸素飽和度がたとえ88~90%でも動いたときに低酸素になる場合は酸素吸入が必要です。

在宅で酸素を作るには小さめの冷蔵庫のような機械を使います。(下図)

 

 

この機械を病院から貸し出し自宅で酸素を作ることができます。

チューブで鼻とこの機械を繋ぎ酸素を体内へ送ります。

 (帝人ホームページより)

ただし、上の機械は簡単に持ち運びができない大きさなので移動するときは酸素ボンベを携帯します。

 

(帝人ホームページより)

酸素が足りないと体の組織に酸素が行き渡らず、体がダメージを受けます。

そのため、酸素を機械で補給することが必須です。

 

 COPD はWHOで死因の第3位になり、日本でも男性の死因第8位になりました。

油断ならない病気です。

 

この病気にならないように是非禁煙を。

そして一度なってしまったとしても、まずは禁煙を始めることが重要です。

禁煙だけでなく吸入の治療も効果的です。

 

どうしても治らない場合は酸素ボンベが必要になりますが、なるべく使わないで済むようにそれまでの治療をしっかり行うことが大切です。治療は禁煙、運動、薬物治療、酸素ボンベの順です。

 

早期の治療が重要となっていますので、COPDの可能性がある場合は呼吸器内科で相談をしてください。

小中台クリニック  院長  池田雄次