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子宮頸がんワクチン 

予防接種・健康診断について

子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がんは若い女性に多く発生する悪性腫瘍です。
ヒトパピローマウイルスによって発生します。
そのウイルスに感染しない予防策がとても重要です。
今回新たに対象年齢が「9歳〜26歳までの男女」から「9歳〜45歳までの男女」に広がった子宮頸がんワクチンが発売されました。

目次
● 子宮頸がんって何?
● 子宮頸がんの原因は?
● 子宮頸がんワクチン9価が発売!
● 効果の違いはあるの?
● 27歳以上にも適応?!
● 副作用はどんなものがあるの?
● 気になる費用は?

子宮頸がんとは何?

子宮頸がんワクチン

子宮の入り口の所(子宮頸部)にできるがんです。
2015年には10,759人の方が子宮頸がんにかかり年間2807人の方が亡くなっています。(全国がん罹患モニタリング集計による)
死亡しない場合でもごく初期を除いて多くの場合は子宮を摘出する必要があります。
子宮を全摘出すると妊娠ができなくなります。
そして子宮頸がんは、20歳代からかかります。ピークは40歳前後にあります。若い女性の命を奪うがんです。

子宮頸がんの原因は?
子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)です。

乳幼児の風邪、侮るべからず!〜RSウイルスの危険性〜

子宮頸部はHPVに感染すると

①完全に治癒する
②持続的に感染する

の二通りがあります。
ほとんどの場合は完全に治癒するのですが、持続的に感染する場合もあり、その中の一部の人が子宮頸がんになります。

子宮頸がんの原因HPVは13種類あります。
現在の子宮頸がんの原因の約70%はHPV16型と18型の2種類です。
今までの子宮頸がんワクチン(サーバリックスとガーダシル4)はこの16型と18型の2種類を入れたワクチンでした。

今回、子宮頸がんワクチン9価が発売されました。
発売された新ワクチン(シルガード9)は従来のワクチン(ガーダシル4)に対応可能な型を5種類加えて、計9種類の型を含んだワクチンです。
ヒトパピローマウイルスの型の全13種類中9種類に対応しているため、現在存在するほとんどの子宮頸がんを網羅することができます。

効果の違いはあるの?
今回追加された5種類のウイルス型に関連する悪性腫瘍の発生率は、新ワクチン(シルガード9群)は0.016% (6016例中1例)で、従来ワクチン(ガーダシル4群)は0.5%(6017例中30例)でした。

また、5種類のウイルス型の持続感染は新ワクチン(シルガード9群)は0.35% (5939例中21例)、従来のワクチン(ガーダシル4群)は6.9% (5953例中544例)でした。

これらから96%以上の予防効果があるとのデータがでています。

27歳以上にも適応!
2020年にFDA(アメリカの食品医薬品局)は新ワクチン(シルガード9)の適応を「9歳〜26歳」から「9歳〜45歳」の男女に広げました。
HPVが原因で肛門や、咽頭(のど)にがんを引き起こす場合があります。
新たに加えたウイルスの型が、様々ながんの予防に効果があると認められたのです。

副作用はどんなものがある?
①疼痛93%
②腫脹42%
③紅斑33%
④掻痒感4%
⑤出血3%
⑥熱感3%
⑦発熱3%
⑧頭痛2%
⑨悪心2%
⑩感覚鈍麻2%
などでした。

特に子宮頸がんワクチンは疼痛が強く、実際に打っている最中から痛みがありたいへん申し訳ない気分になるワクチンです。
どんなに工夫してみてもこの痛みはあまり改善しません。
また腫脹、紅斑などはたいへん多くみられる副作用です。

また、重篤な副作用についての調査が行われました。

「子宮頸がんワクチン接種と因果関係を評価するに足る疫学的な報告は見られず現時点では否定もしくは肯定するに足るエビデンスはない」とされた副反応は以下の11疾患です。

● 急性散財性能脊髄炎(ADEM)
● 横断性脊髄炎
● 視神経脊髄炎
● 多発性硬化症
● ギランバレー症候群
● 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
● 腕神経叢炎
● 筋萎縮性側索硬化症
● 膵炎
● 血栓塞栓症
● 凝固能の亢進

因果関係を肯定するに足るエビデンスがあるとされた副反応は

● アナフィラキシー

でした。
アナフィラキシーはある一定の頻度(50万回に1回)で起こり得ます。
当院ではアナフィラキシーショックに対応する注射薬なども用意しています。

気になる費用は?
当院ではシルガード9を1回打つと26,000円かかります。(令和3年3月時点)
3回打つので、計78,000円かかります。
一刻も早く公費負担になる日が待たれるところです。
ちなみに海外では3回分で400~500ドルほどのようです。
接種数が多くなれば日本でももう少し価格が下がる可能性があります。

まとめ
子宮頚がんワクチンをを打つとHPVにかかりにくくなります。
HPVにかからなければ子宮頚がんにかかりにくくなります。
子宮頚がんは、娘さんやお孫さんにも影響する疾患です。
接種を検討されてもよいのではないでしょうか。