~口からではなく鼻から胃カメラ~今回は逆流性食道炎をもつ患者さんを想定して、鼻から胃カメラはどう行うのかを説明していきたいと思います。
管を口から入れるというのは苦しいものですが、胃カメラも例外ではありません。
当院の胃カメラは現在経鼻内視鏡です。
この胃カメラは鼻の穴から入れられる太さです。
しかし,鼻の穴が詰まっていたり,狭かったりすると入りません。
鼻から胃カメラをするときは、まず最初に柔らかい管で入るかどうかを確認します。
そして自分が広いと感じる方をスタッフに伝えます。入らなかった場合は、もう片方にも試しに入れます。

スタッフによるテストが終わったら、内視鏡担当の先生に入れていただきます。
管を入れる前に鼻に麻酔をかけます。

麻酔がかかったら,広い方の鼻に管を入れていきます。

入れる途中で引っ掛かり、「メキメキ」という感覚があるかもしれませんが、ちょっと痛い…と思っても我慢してください。
すぐに先に進みます。ほとんどの場合、痛みは軽減します。
そして喉の裏へ進んでいきます。
舌の根元に当たったら,嘔吐反射が起こることがあります。
口から入れる胃カメラの時は嘔吐反射が何回も起きますが、鼻からの場合はその反射の起きる回数は大幅に減ります。
この嘔吐反射を軽減する点が鼻からする胃カメラの最大の利点と言えるでしょう。
実際に院長が受けている鼻から胃カメラの様子の動画を以下に載せておきます。
~胃カメラで観察しよう<胃>~さて,今回胃カメラで確認するのは食道、胃、十二指腸,膵臓の入り口です。
食道の次に胃、胃の次は十二指腸があり、十二指腸の一部に膵臓がくっついています。
胃カメラを入れる場合は十二指腸まで観察するのは規定の方法となっていますので、逆流性食道炎には関係のない臓器の十二指腸と膵臓の入り口もチェックしていきます。
話を戻します。
食道の次は胃があります。胃の入り口を見てみます。
入り口のしまりが悪いときは逆流性食道炎がある可能性が高いです。
胃の内部を観察していきます。
胃を広げてくまなく観察するため、胃に空気を入れます。
空気を入れるととてもゲップをしたくなります。
しかし、空気を出してもまた胃に空気を入れなければならないので、ここはゲップを我慢しなければなりません。
つらいですが我慢してください。
~胃カメラで観察しよう<十二指腸と膵臓の入り口>~胃の次は十二指腸を観察していきます。
十二指腸にも空気を送り内部を見ます。
すでに述べたように、十二指腸と膵臓は繋がっています。
膵臓の入り口であるファーター乳頭部というところをギリギリ見ることができます。
この部分にがんができやすいので必ず観察する必要があります。
この辺りでお腹に張りを感じます。お腹の中のガスがお腹を膨らませているからです。
十二指腸まで観察が終わったら、再び胃まで戻っていきます。
~胃カメラで観察しよう<再び胃>~胃の内部を観察していきます。
胃の粘膜に凹凸がないかどうか、赤い部分がないかどうか、出血している部分がないかどうかをていねいに観察します。
胃底部の胃液を吸い上げて粘膜を観察したあとは,食道に戻ります。
~胃カメラで観察しよう<食道>~ここからが逆流性食道炎の観察で一番重要なところです。
逆流性食道炎は胃酸が食道に何度も逆流してきます。
その過程で食道の粘膜が傷みます。重症度はこの傷み具合で判断します。
そして、ゆっくりと食道粘膜を戻って食道がんがないか確認します。
食道がんは胃カメラを行わないと見つけられないからです。
~鼻から胃カメラ終了~すべてのチェックを終えて胃カメラを取り出します。
鼻の穴が小さい場合、鼻から出すときにわずかに出血することもありますがすぐに止まります。
ただし、喉の麻酔が効いているので唾を飲み込むのは1時間ほど難しくなります。
水分をしっかりと飲み込めるのは2時間後くらいからです。
検査後、しばしばゲップがでてそのたびにお腹が小さくなるのを感じますが数時間で収まります。
嘔吐反射のレベルを考えると、鼻から入れる胃カメラはずいぶんと楽です。
ご希望の方は医療機関にご相談ください。